お客さまの顔は遥か遠くに

~コロナウイルスによって生じる訪問主体の保険販売業のパラダイムシフト~

今回は保険業界に関するお話をさせていただきます。

保険営業といえば、基本は訪問による対面販売。つまり、「お客さまと会うこと」です。
これは保険業法の制約により多くの契約手続きは対面しなければならないためです。

ですが、コロナウイルス対策により緊急事態宣言が発令され人と会うことが制限された状況では、「お客さまと会うこと」そのものが成り立たなっています。
それゆえ、保険営業(特に生命保険)の販売職員は大きな影響を受けています(企業の職域販売が主力の販売職員を数多く抱えている漢字系の生保社にとってはかなり深刻なはず。)。

一年ごとの更新が主流の損害保険も例外ではありません。
以前であれば、「更新なんでとりあえず伺います」と当たり前のようにアポイントを取っていたのが、最近では「無理に来なくて良いよ」と簡単に言われます。

感染するリスクもさることながら、その営業に時間を取るだけの価値があるのかどうか。
手続きで単に署名や印鑑を貰うだけであれば、そもそも会うこと自体に価値があるかどうか。
お客さまにとって、その営業と会う意義や時間を取るだけの価値があるかどうか、を営業が値踏みされているとも言えます。

損保業界では、電話や郵送ではなく「対面によるタブレット手続き」が代理店に推奨されているため、タブレット手続きを目的にアポを取る傾向にありましたが、それだけではアポを取らせてもらえないのが現状です。
※コロナウイルスの現状のため、面談自粛要請は保険会社から出ているので、対面タブレット手続き推進も一時中止されています。

今はコロナウイルス感染症の影響で対面自体に高いハードルがあります。
ですが、こうした「不要な面談はしない」という状況が長く続くことによって、「人と会う」ということについて社会の価値観が大きく変わっていくのは間違いありません。

無意味に人と会うことを避けるという傾向は、最近の若い世代には元々ありますが、それが全世代を通してより強くなる。今までのような訪問販売の営業スタイルが通用しなくなる。
これは、保険営業の訪問や対面に対する価値観を大きく変えなければならないパラダイムシフト(転換期)だと言えます。

最近では、保険会社によってはWEBテレビでの面談を「対面と同等」と見なすような動きも出てきています。
ですが、お客さまとWEBテレビ面談をするためには、それ相応の話をして、約束を取り付けなければなりません。
「とりあえずWEBテレビで」とはならないという意味では、冒頭の「更新なんでとりあえず伺います」が通用しないことと大差はありません。

WEB面談にせよ、対面にせよ、お客さまの顔を見るためには、それなりの価値があることを事前に示す必要が出てくることになります。
この保険営業のパラダイムシフトをどう乗り切るのか、それが大きな課題のように思います。

投稿者プロフィール

大和親英
大和親英代表取締役社長
生年月日:1978年11月14日
茨城県水戸市生まれ、東京都北区育ち
都立北園高校、法政大学工学部卒

大学時代は勉強はほどほどに済ませ、バックパッカー(海外貧乏一人旅)を、卒業後は父と同じ保険業界に足を踏み入れ、過酷なノルマに追われて過ごす。社会の厳しさを体験しつつも、保険を通して「人とふれあう営業」の喜びとやりがいを感じるようになりました。